フライフィッシングという釣り方がこの世の中にある事を知る遥か前、フナやコイを手竿で釣るのが楽しい小学生のとあるクリスマスの早朝。両親から「ルアー」をプレゼントされたのは南青山のセレクトショップで買われた、デアデヴィルのスプーンが6個入った箱と綺麗に巻かれたフライが6本飾ってある箱。スプーンは当時の釣り好き小学生のバイブルだった「学研・釣りのひみつ」という学習マンガで知っていましたが、フライ-正確にはウェットフライを見たのは初めてです。
翌年の春、山梨県の常設釣り場へ父と釣り仲間家族で一緒に行った時、波止場でのアジ釣り用に持っていた片手投げスピニングタックルでスプーンをニジマス目掛けて投げるけど全然釣れません。それを見かねた父の友人が「トレーラーでやってみよう」と言うと、持っていたウェットフライをハリスでスプーンに結んでくれました。なんとかこの方法でルアー&フライで初めてのニジマスを釣ったのですが、これが生まれて初めてフライというもので魚を釣った瞬間でした。
「外国のサビキみたいなもんか」という程度の認識しかなかった私。その後中学生になってから家族旅行で長野の蓼科で夏休みを過ごしている時、父に連れられて渓流釣り名人と言われる、今風にいえばフィッシングガイドの方の引率で「源流」と呼ばれる岩だらけで危なっかしい小さな川のヤマメを「毛鉤」で釣ることに。当時はバスブームだったこともあり、渓流竿なんてダサいと思っていた私はスピニングロッドを使うことを主張。なんと毛鉤をスピニングロッドの先端にハリスで結んで「提灯釣り」をすることに。名人は12匹、父は2匹、私はボウズでしたが、チョンチョン叩く釣りは食いついてもすぐにバラしてしまうし、テレビで見たようにキャストして釣りたかったので美しいヤマメがスプーンや結んだウェットフライを追いかけてくるだけで十分に楽しかったことは覚えています。