まずは「flyworld.jp」創刊?おめでとうございます。この度ご縁があって、連載をさせてもらうことになりました雨鱒虹男(アメマス ニジオ)と申します。フライフィッシングにまつわる話から、まつわらない話まで色々と書こうと思っているので、今後ともよろしくお願いします。
記念すべき第一回目は、「憧れのニュージーランドで鱒を釣る!」というお話です。フライフィッシャーでなくとも、誰もが一度は訪れたいと思うニュージーランド。映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地を巡るだけなら、普通のツアーに参加すればいいんでしょうけど、やっぱり憧れのフライフィッシングを楽しみたい!となると、やはり現地で活動している専門のフィッシングガイドさんが必要になります。あちこちの知り合いに連絡して、なんとか現地に住む日本人ガイドさんを紹介してもらうことになりました。
ニュージーランドに着いて、初めて会うガイドさんにドキドキしながら「明日はよろしく願いします!」と挨拶をしたのも束の間、なんと、ガイドさんが急用でNGになったらしく、「代わりに知り合いのニュージーランド人のガイドが来ますから、よろしく!」と告げられてしまいました。
異国の地で、不安だらけの初めてのガイドフィッシング。一緒に釣るのは赤の他人で、しかも言葉が通じない外国人。考えれば考えるほど頭が混乱してきました。とりあえず、ホテルの部屋で頭の中の不安材料をひとつひとつ整理することにしました。
まず第一に、本当に釣れるのだろうか?と言う素朴な疑問から考えました。
これは、大丈夫!そのためにガイド料を払うんだから、魚が一杯いるところに連れて行ってくれるに違いない!
いや、仮に魚がいたとしても、そんなに簡単に釣れないんじゃないか?
いや、絶対に釣れる!という保証に対してお金を払うわけだから、間違いなく釣れるはずだ!
いや、やっぱり相手は自然だけに、釣れない時もあるんじゃないのか?
いや、そこはプロのガイドさんなわけだから、釣らせてくれるに違いない!
いや、それでも釣れなかったら、釣れないのはお前の腕のせいだ!ということになるに決まってる!
いや、待てよ、そもそも英語が喋れないから、話が通じないんじゃないのか?
もはや、頭の中で、疑問という疑問が飛び交い、スーパーハッチしている状態でした。
悩み抜いた結果、「お金を払ったんだから、釣らせてくれるに違いない。」と言う考え方は捨てて、「ガイドさんと一緒に楽しむ気持ちさえあれば、たとえ釣れなくても楽しいはずだ!」と言う考え方で行くことにしました。
結局、自分だけが楽しくても、ガイドさんが楽しいと思ってくれないとダメなんじゃないか。そのためには「釣らせないとお客さんが怒り出すかもしれない!」というガイドさんの不安を出来るだけ取り除いてあげる努力をすべきだ。こっちがお金を払ってるのに、なんでガイドさんのことを心配しないといけないんだ!と思ってはいけない。
これは相手の立場になって考えれば簡単にわかるはずだ。もし僕がガイドだとしたら、相手が嫌な客ならさっさと数を釣らせて、お金だけもらって早く家に帰りたいと思う。そんな気持ちになるんじゃなくて、ガイドさんが楽しむからこそ、こっちも楽しくなるに違いない。そう考えれるようになった。
よし!明日はたとえ釣れなくても明るくいこう!そう心に誓って、ベッドに潜り込んだ。
翌朝、約束の時間通り、ホテルに現れたガイドさんは、僕がイメージしていたカッコいい外国のフライフィッシャーではなく、どう見ても普通のおっちゃんだった。
~次回に続く~